第40回
高血圧について内科
- 高血圧とは
正常の状態よりも高い血圧値が持続している状態を「高血圧」といいます。一般的に診察室で計測した血圧が140 / 90mmHg以上の状態を指します。自宅で測定する場合、135 / 85mmHg以上であれば高血圧と診断されます。
- 高血圧の原因
高血圧は原因によって「二次性高血圧」と「本態性高血圧」に分類されます。二次性高血圧は、腎臓や内分泌系(ホルモン)などの異常が原因で引き起こされます。本態性高血圧は、はっきりとした原因がわかっていませんが、遺伝的因子と環境的因子(肥満・食塩の過剰摂取・運動不足・アルコールの過剰摂取・喫煙・ストレス・加齢など)が相互に作用して引き起こされると考えられています。日本人の場合、高血圧の方の約90%が本態性高血圧であると言われています。
- 高血圧を放置すると
高血圧になっても通常自覚症状はほとんどありませんが、血圧が高い状態を放置すると、心筋梗塞、脳卒中、心不全、腎不全など命にかかわる病気の発症リスクが高まります。また、糖尿病や脂質異常症、肥満などを合併している場合、これらの病気を引き起こす危険性が高まります。
- 降圧目標
血圧は体調・環境・時間・心理的影響など様々な要因で変動するため、定期的に測定し、管理することが重要です。最近では家庭血圧が非常に重要視されており、診察室の血圧だけでなく家庭血圧の降圧目標値が日本高血圧学会から提唱されております。年齢や他の疾患の有無によって目標とすべき血圧値は異なりますので、自分の目標値を主治医に相談し、目標達成を目指しましょう。
- 血圧を下げるために
血圧を下げるために日常生活習慣の改善に取り組む必要があります。
その一番目は食事療法で、最も大切なのは「減塩」です。日本人の塩分摂取量は年々減少傾向にあると言われており、国民健康・栄養調査(2019年)では一日の食塩摂取量は、男性10.9g、女性9.3g ですが、血圧を下げるためには6g未満に減らすことが大切です。
二番目に重要なことは運動療法です。酸素を取り込みながら全身を動かす有酸素運動は、高血圧の治療に効果的とされています。ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分以上なるべく毎日続けましょう。
その他に、体重管理、アルコール摂取量の制限(日本酒なら1日1合、ビールなら1日中瓶1本程度)、禁煙、ストレス解消、充分な睡眠、便秘の解消など血圧上昇を来たす要因を少しずつ減らせるようにしましょう。
これらの生活習慣の改善を行っても降圧目標値に達しなければ、薬物療法(降圧薬の内服)による治療を開始します。降圧剤は主治医の指示に従って、決められた用法、用量を守って服薬するようにしましょう。降圧目標値を達成し、それを維持して行くことが大切です。血圧が高めで気になっておられる方は、お気軽にご相談ください。